みなさん、ラーメン食べてますか?
筆者は最近、週3日くらいの頻度で食べています。
そのせいか、寸胴のような体形になってきました…。
愛が人を形づくるというのは、本当だったんですね。
さて、国民食であるラーメン。
よく食べに行っている人でも、
ラーメン店の舞台裏までは知らないもの。
どうなっているか知りたいという
好奇心のスープが脳内でこってりしてきたので、
和歌山県内で20年以上にわたり
本格的な濃厚とんこつラーメンを提供する
「長浜らーめん国体道路店」さんに取材に伺いました。
お話をうかがったのは…
和歌山市と海南市で「長浜らーめん」を4店舗展開する
『ナイス』の専務取締役である宮井彰宏さん。
ラーメンをこよなく愛し、
休日もご夫婦でラーメン店開拓を行っているのだとか。
それなのに、筆者より断然スリム!この違いは一体…。
編集者
本日はよろしくお願いいたします。
宮井さん
よろしくお願いいたします。
編集者
あの、早速なんですけど、
やっぱりお客さんが一口目から
コショウかけたら怒鳴るタイプですか?
宮井さん
え、一発目からわけわかんない質問ですね。
編集者
なんとなくなんですけど、
イメージの世界のラーメン店の店主は、
みんな頑固で自分の味を汚すな的な感じなのかなと。
宮井さん
思想が偏り過ぎてません?
当店では、そういったことはないですね。
むしろ、お客様お一人おひとりに好みがあると思うので、
いろいろとアレンジできるようにしているんですよ。
編集者
麺の固さを選べるお店もありますもんね。
宮井さん
それだけじゃなくて、普通麺か辛練麺かを選べますし、
ねぎの量、きくらげや辛みそダレの有無も選択できます。
卓上にも調味料をかなり揃えていますね。
編集者
どのような調味料があるんですか?
宮井さん
コショウはもちろん、にんにくやコチュジャン、
ゴマ、一味唐辛子、さらに薬味として紅ショウガ、
辛子高菜を用意しています。
ほかにも、チャーハン用のにんにく醤油や
餃子用のラー油もあるので、
それをスープにかけてみてもいいですよ。
編集者
懐が深すぎる。
思い込みって、やっぱりロクなことがないですね。
あ、もうひとつ私の中に勝手なイメージがありまして。
宮井さん
なんでしょう。
編集者
早朝から深夜まで働く、ブラッキーなイメージです。
漆黒の労働環境。
宮井さん
あぁ、なるほど。いや、それはないですね。
当社の出勤時刻は朝の10時です。
編集者
えっ!? 思った以上に遅いですね。
ワイドショー見て、ゆっくり出勤できる。
宮井さん
そうですね、「長浜らーめん」の営業時間は
11時から翌日の0時までなので、
朝は遅くて大丈夫なんです。
編集者
あ、夜は長いんですね。
宮井さん
そこは、長時間労働にならないように
早番と遅番にシフトを分割しているんですよ。
では、簡単に1日の流れを説明しますね。
朝10時に早番が出勤。
3~4名のスタッフと具材の準備や清掃、
翌日分のスープの仕込みを行います。
「長浜らーめん」のとんこつスープは非常にシンプルで、
九州産の豚の頭骨と水だけでつくっているそうです。
仕込みの量は、これまでのデータを蓄積しているため、
勘や経験に頼らなくても最適な量を用意できます。
11時から開店。本格的に1日が始まります。
ランチタイムは、最大のピーク。
社員・パートを含めて4~5名で対応します。
お昼は特にセットメニューが注文され、
一番人気なのはラーメンとチャーハンを
一緒に楽しめる「黄金のセット」。
チャーハンにもしっかりこだわりがあり、
味付けの素は食品会社と開発した特注品だとか。
これがもう、めちゃくちゃおいしい!
ピークが過ぎた14時頃から食事の時間に。
まかないとして店舗メニューを無料で味わえます。
また、店内の具材を使って自由にアレンジOK!
現在レギュラーメニューとなっている
「チャーキム丼」は、まかないから誕生したそうです。
また、まかないは新人の練習時間にもなっています。
15時になれば、早番は1時間休憩に。
この時間に遅番が出勤して、
ディナータイムに向けた仕込みを行います。
とんこつスープの様子も定期的に確認し、
火加減や水加減を調整。
ある程度の目安はマニュアル化しているので、
経験がなくても心配いりません。
この道10年以上のスタッフの餃子の仕込み作業を撮影。
あっという間にこの状態に。
早くて、見栄えも美しいTHE 職人技。
テイクアウトのお弁当やラーメンも販売しています。
ラーメンは改良された2代目で、
なんと電子レンジでスープを温められるように。便利!
ディナータイムは、ご家族連れのお客様がメインに。
唐揚げや餃子の単品注文がグンと増えるのが
ランチタイムとの傾向の違いです。
この間に業者に電話をかけて、
野菜や肉などの発注も行います。
21時になれば、早番は退勤。
ここから片づけを徐々に始め、0時になれば閉店します。
閉店後に片付け終われば、遅番も退社です。
時間としては0時半が目安になります。
「長浜らーめん国体道路店」では
平日で100~200杯、休日では300~400杯の
ラーメンを提供しているのだとか。
1年間で何万食分もつくっていると考えるとすご過ぎる。
以上が1日の流れでした。
ここからは、宮井さんに「長浜らーめん」を代表する
「とんこつ白」をつくっていただきながら、
会社への想いを伺います。
編集者
いやぁ、想像と全然違って、とんこつスープのごとく、
めちゃくちゃホワイティでした。
宮井さん
といっても、まだまだ労働時間を削減できないかを
考えている最中なんですけどね。
当社の行動指針として、
「元気・笑顔・綺麗」「人に喜んで貰い自分も喜ぶ」
という言葉を掲げているんですけど、
それらをきちんと実行するには、
スタッフ自身に余裕がないとできません。
だから、労働環境の改善は必然です。
編集者
もはや白さを超えて、透けている感じさえします。
スケルトン企業と呼ばせてください。
宮井さん
それは意味が変わってきそうですけど…。
でも、実際に会社をより良くするため、
2018年に専務に就任してからは
「従業員の声に耳を傾けて不満を解消する」
を自分のテーマにして動いています。
編集者
日々、スタッフの方々にお話を聞かれているんですね。
宮井さん
もちろんです。
不満があれば遠慮なく言ってほしいと伝えています。
そうする中で、もっとしっかり話がしたい
という声も出たので、長い時間話し合えるように
年に2回、全社員と面談する機会を設けました。
編集者
そういったやり取りの中で、
いろいろと制度ができたりしたのでしょうか。
宮井さん
まず大きなものは、勤務シフトです。
これを見直して、1回あたりの労働時間を減らしました。
また、オフの時間を充実させられるように、
月1回連休制度をつくりましたね。
編集者
スタッフの声が推進力となって、
改革が進んでいるわけですね。
宮井さん
ときには、自分で考えて実行するときもあります。
ちょっと前に、ある社員が結婚すると報告してくれて。
それだったら、新婚旅行に行きたいだろうなと、
1週間の連休を取得できる新婚休暇制度をつくりました。
編集者
一人のスタッフのために、
制度までつくるというのはすごい。
宮井さん
店づくりは、人づくりと同義です。
だから、人が成長できる環境をつくらないといけません。
いま60代のスタッフが働いてくれているのですけど、
その人をモデルケースにして長く続けられる
職場づくりに今後も取り組んでいきたいですね。
編集者
労働環境以外についても、
社員の声は実現されていますか?
宮井さん
当社が運営する「長浜らーめん」は
どの店舗でも個性を出せる余地があって、
新商品の開発もそのひとつです。
たとえば、いまヒットしているのが
「国体道路店」限定のガーリックチャーハン。
これは、同店の店長が考案したメニューです。
全店で販売しているテイクアウト用のチャーハン弁当も、
もとは「海南店」が先駆けてやり始めました。
編集者
割と自由にできるんですね。
宮井さん
どんどん挑戦してもらっています。
編集者
ということは、失敗したメニューも
過去にはありそうですね。
宮井さん
当然ありますね。
編集者
聞きにくいですが、お伺いしてもよろしいでしょうか。
宮井さん
うーん、まぁ、最近で言えば、
チャーシューを使った「しぐれ丼」ですかね。
編集者
え、めちゃくちゃおいしそうですけど。
宮井さん
そうなんです。おいしくて、かなり売れたんですけど、
逆にそれがだめで…。
編集者
売れたのに? 失敗なんですか?
宮井さん
もとは、チャーシューの切れ端を
うまく活用したメニューとして誕生したんです。
でも、売れすぎて切れ端でない部分も
使わざるを得なくなり、そうすると原価の問題が…。
編集者
あぁ、なるほど。結構、攻めたこともできるんですね。
宮井さん
それでお客様がラーメンを食べに来てくだされば
という想いがありますから。
面白そうなら、やっていこうと考えています。
編集者
そういう方針があると、楽しく挑戦できますね。
自分のアイデアを実現したい人は、
「長浜らーめん」で働くべきだと思えました。
編集者
やっぱりラーメンに情熱を傾ける
熱いメンバーが集まっているんですか。
宮井さん
情熱があるという意味ではそうですが、
全員ラーメンが大好きかというと少し違う話で。
ラーメンをあまり食べない社員もいますよ。
編集者
それは意外すぎる答えでした。
宮井さん
採用で大事にしているのは、
「人に喜んでもらうことが好きかどうか」です。
ラーメンは、ラーメン店にとって
お客様に喜んでいただくための手段。
接客を含めたサービスも重要なので、
ラーメンさえ良ければOKという人は必要ないですね。
編集者
そう言われると、納得できます。
私もお客さんとして行くなら、
気持ち良く食事ができるお店がいいです。
宮井さん
そうだと思います。
また、ラーメン店の運営はチームワークですから、
周りへの気遣いができる人でないといけません。
そういう人物像を、私は「やさしい人」と呼んでいます。
編集者
やさしい人って、いいですね。しっくりきます。
宮井さん
ですけど、やさしい人は遠慮しがちだから、
言いたいことを言えない場合も多いと思うんです。
スタッフ管理においては、そこをかなり意識しています。
編集者
どういうところに、
その意識は反映されているのでしょうか。
宮井さん
話しやすい雰囲気をつくるのもそうですし、
年2回ある面談では昇給の話もできるように、
評価シートをつくったんです。
基準をしっかり設けたから、
頭の中の印象だけで語ることなく公平に判断して、
がんばりを給与に還元できます。
編集者
言い出しづらいところも、
はっきり言えるようにしたわけですね。
宮井さん
やさしい人が損をしない。これが大事です。
編集者
「長浜らーめん」という場所で、
従業員もお客さんも気分良く同じ時間を過ごせるって、
素敵なことですね。
宮井さん
ラーメン店で働いていると
目の前でお客様の反応を見られるから面白いですよ。
自分でつくった料理をおいしそうに食べてもらえたら、
これ以上のうれしさはないですし、
接客でもこちらの行動に対してスグに反応が返ってくる。
やりがいは、かなりあると思いますね。
編集者
面白そう! でも、料理に苦手意識があって、
飲食という言葉に二の足を踏んでいる人もいそうですね。
宮井さん
それは、大丈夫ですよ!
私も働くまで、包丁すら握ったことがなかったので。
編集者
わぁ、びっくりする答えが返ってきました。
そこから始められると思えば、心強いですね。
初心者がぶつかりがちな壁ってあるんですか。
宮井さん
いまはマニュアル化も進めていて、
どんどん始めやすくなっていますし、
うーん、なんでしょうね、
1日中立っている仕事だから、それが辛いとかかな。
編集者
スキルよりもフィジカル面に壁があるとは!
つまり慣れてしまえば、
どのような経歴の方でも活躍できるということですね。
本日はありがとうございました。
あとがき…
いかがでしたでしょうか。
ラーメンづくりと同じくらい
スタッフへの想いを熱く語ってくださった
宮井さんの人柄が非常に印象に残っています。
写真にある金色の器は「幸運の丼」と呼ばれ
各店に1つだけ用意しているそう。
もしも、この丼でラーメンを提供されれば、
とってもラッキーです。
その幸福度合いからして、宝くじの一等が3年くらい
当せんしない運量を消費してしまうかもしれません。
食べに行くも良し、働くも良しという
「長浜らーめん」で、いま新しい仲間を募集しています。
気になる方は下記のボタンを押してみてください!
最後に、スタッフの方々にもラーメン店員あるあるを
お聞きしたのでご紹介いたします。
・他店ではカウンターに座って段取りに注目しがち
・よそのお店に入っても、呼び鈴に反応しがち
・自宅用でも中華鍋を買いがち
以上です。拝読、ありがとうございました。
(ナイス様HP⇒ https://nagahama-raumen.com/)