ねじ。
カタカナだとネジ、漢字にすると螺子。
随分印象が変わりますね。
これもう漢字だと、
某人気アニメのキャラクターですね、ゼッタイ。

さて、それはさておき、とても小さいこの部品、
世の中を驚かす大きい仕事をやってのけちゃいます。
見えないところ、見えにくいところから
日本の製造業を支えるタッピンねじを中心とした
ねじの製造販売を行う「粉室製作所」を訪れました。

 

二刀流課長が笑顔でお出迎え

 

笑顔で迎えてくださったのは…

大谷さん!おおたにさん!オオタニさん!
現在、総務部の課長として
総務人事二刀流で腕をふるっています!
まさにビッグフライ!(なんのこっちゃ)

 

編集者
本日はよろしくお願いします。

大谷さん
こちらこそよろしくお願いします。

編集者
粉室製作所さんで製造されるねじ、
タッピンねじが中心だとか?

大谷さん
タッピンねじについてお話しする前に、
ねじに「オス」と「メス」があるのはご存知ですか?

編集者
えっ、そうなんですか!?
オス」と「メス」、まるで生き物ですね。
まぁ、子どもたちに大人気のモンスターにも
オス」と「メス」がありますからね。

大谷さん
モンスターはともかく、確かに生き物みたいですね。
オス」は、ねじの外側にギザギザ(ねじ山)があり、
メス」は、穴の内側にギザギザ(ねじ山)があります。
それぞれ「おねじ」「めねじ」と呼ばれ、
この2つの組み合わせが、
ねじの基本締結なんですよ。

編集者
なるほと、ねじは基本
おねじ」と「めねじ」のニコイチなんですね。

 

穴すら不要!向かうところ敵なしのねじ界の絶対王者!?

 

大谷さん
一方、タッピンねじは、自らのねじ山で、
相手材の穴に、めねじ山を形成しながら締結できますし、
穴すら不要なセルフタップ機能もあります。

編集者
穴すら不要!?

大谷さん
そう、タッピンねじは、
めねじ加工・インサートナットなどが不要なため、
締結コストの削減、作業効率の向上に力を発揮します。

編集者
いやぁ~、タッピンねじは、無敵のねじですね!

大谷さん
まぁ優れたねじであることは間違いないんですが、
弱点もありまして…。

編集者
おや、無敵のタッピンねじに弱点があると…。

大谷さん
ええ、どうしても硬い材料に対しては、
ねじ山が潰れたり、セルフタップが十分に機能しなかったり、
といった事態に陥ってしまうのです。

編集者
無敵のタッピンねじも、もはやこれまで…

 

救世主現る!その名は…

 

大谷さん
いえ、そんな窮地を救ったのが
タッピンねじを超えた高強度タッピンねじ、
ハイテンビスです。

編集者
タッピンねじを超えたハイテンビス!?
名前を聞いただけでも、何だか凄そうです。

大谷さん
ハイテンビスの誕生に大きく関係しているのが、
ハイブリッド車なんです。

編集者
ハイブリッド車ハイテンビスの…
分かった!
ハイテンビスの「ハイ」は、ハイブリッドから来…

大谷さん
(食い気味に)違います!
ハイテンビスの「ハイテン」は、
硬くて薄いという特徴を持つ鋼材である
ハイテン材(高張力鋼板)から来ています。

編集者
そうじゃないかなとも思いました!

大谷さん
ハイブリット車の出現により、
車体の軽量化が一段と求められるようになりました。
当然、薄ければ軽くなり、
燃費の向上につながります。
一方で安全性の確保には硬さも欠かせません。
そこで強度の高く薄いハイテン材
注目されるようになったものの、
従来のタッピンねじだと勝負にならない。
何とかならないかとご相談いただいたんです。

編集者
ハイテンビスは、お客様のご要望から生まれたんですね!

 

世界的自動車メーカーの想いをカタチにしたハイテンビス!

 


大谷さん
そうなんです。
しかも、そのお客様は日本企業にして
世界有数の自動車メーカーです。

編集者
なんと、あの世界の○○○(伏せ字)から!?

大谷さん
お声が掛ったのは、
当社だけではありませんが、
この話をいただけること自体、
当社の技術力や発想力、提案力に
信頼をいただいている証しだと、
社員の一人として非常にうれしかったですね。

編集者
完成までには大きな苦労があったんですか?


大谷さん
私自身は、製造スタッフではないので、
直接関わっていませんが、
開発に携わった当社の常務からは
試行錯誤の繰り返しだったと聞いています。
同時に当社を含めた4社の開発者が集まり、
仕様の詳細を詰めていくのは楽しいことでもあったようで、
形状を変えよう、別の材料にしよう、
胴体部分を途中で三角形から丸にしたら
ねじ山潰れたり、緩んだりしないんじゃないか
といった具合に意見を出し合ったそうです。
ハイテンビスには、さまざまなねじの叡智が結集されています。
結果、ハイテンビスは、自動車のフロントシート等に多く採用され、
大阪ものづくり知的財産部門賞」を受賞する至りました。

編集者
完全にプロジェクトなんとかの世界ですね!

大谷さん
ええ、常務は根っからのねじ職人で、
二番煎じが大嫌い。
今も「世の中にないからこそ作る」を
合言葉に新しいねじの開発に励んでいます。
環境にやさしく、軽くて、緩まない
究極のねじづくりです。

編集者
それはもう完全に
プロフェッショナル仕事のなんとかの世界ですね!

大谷さん
本当に(笑)。

 

ねじづくり企業がこれから紡ぐ未来とは…

 


編集者
粉室製作所の皆さんにとってねじとは?

大谷さん
ねじは、見ていてカッコいいし、
作っていて楽しいし、使われていたらうれしい。
私たち社員にとっての人生のひとつ。
小さいですが、そこにいろいろなものが詰まっていて、
モノを支えるものでもあり、人を支えるものでもあります。
そして、人を笑顔に、幸せにするもの、それがねじです。

編集者
大谷さんも常務に負けずカッコいいですね!

大谷さん
常務の受け売りです(笑)。

編集者
そうなんですか(笑)。
そんな大谷さんの職場づくりへの想いとは?

大谷さん
若い人にたくさん入ってもらい、
普通に結婚ができ、クルマを買えて、
家が買えるだけの収入を得られるようにして、
若い人が楽しく、希望を持てる会社にしていきたいです。
そうした会社なら職場の雰囲気も明るくなりますし、
雰囲気が明るくなれば、自ずと注文が入り、
売り上げもアップ!好循環が生まれるはずです!

編集者
やっぱり、カッコいいじゃないですか!

大谷さん
これも常務の受け売りです(笑)。

編集者
(笑)。本日はありがとうございました!

あとがき
いかかでしたでしょうか。
ねじづくり、職場づくりへの想い、
あなたの琴線に触れられていればうれしいです。

ちなみに、人を笑顔にするねじを製造している会社だけあって、

ねじ頭の笑顔が特徴である「スマイルネジ」の
ねじ山部分を製造しています!
スマイルネジについて詳しくは、下記をご覧ください。
スマイルネジプロジェクト

取材協力
株式会社粉室製作所