DIYが身近になった昨今。
かく言う私も、中学の授業で木製の椅子をつくって以来、工作は大好物!
常に、切れる板はないか、回せるネジはないか、そして塗れる壁はないか、探して生活しています(ただの奇人)。
そんな折、塗料と塗料資材の販売を専門に行う「ゑびす屋ペイント」の社長にお話をうかがう機会が!ということで、
スキップしながら向かったところ、素人では知る由もない塗料の奥深い世界が広がっていました。
お話を伺ったのは……
塗料・塗装資材を扱う卸売り専門店として兵庫県西宮市に創業して半世紀以上。地域の頼れるペンキ店として多くの支持を集める「ゑびす屋ペイント」三代目社長の大西宏和さんです。
編:
今日は、どこかで間違った人生も一瞬でハッピーに塗り替えられる塗料を求めて来ました!
大西:
こんにちは!いきなり危険な匂いがしますね。
さすがに人生を塗り替える塗料は扱っていませんが、当社では約200社の塗料メーカーの商品を取り扱い、刷毛や溶剤といった塗料資材も豊富に販売しています。
編:
今の塗料は塗るだけでカビの発生を防げたり、機能が超進化していると聞きます。
大西:
おっしゃる通りです。
塗料自体の効果としては、屋根に塗れば赤外線を反射して遮熱効果が得られることで夏場に室内が暑くなりづらいとか、あとは雨筋汚れを防いだり、カビが発生しにくくなったり、さまざまな機能を付加できます。美観を保つ、素材を保護するといった基本的な機能だけでなく、いろいろな可能性を秘めているんです。
編:
塗るだけで!
大西:
そうですね。今やそういった機能は当たり前のように付いている商品が多くなっています。昔は「防カビ機能が入っています」が宣伝文句になったのですが、今では逆に「え、防カビ入ってないの?」というレベルにまで進化しているので、各メーカーが改良・開発をされていますが、機能に関しては頭打ちかなと感じますね。
編:
当たり前になると、ありがたみって薄れますよね……。
社長ご自身が、「こんなのあったらいいな」と思う塗料の機能って何ですか?
たとえば、100年経っても大丈夫!な塗料とか!?
大西:
どこかで聞いたような(笑)。
確かに塗料の耐用年数は樹脂の進化とともに20年30年と増えていますが、たとえば住宅の外壁に30年もつ塗料を使用しても、塗膜だけで家そのものが長もちするわけではありません。ですから50年もつ塗料をつくっても当然ほかで不具合が出てくるので、あまり意味がないかなとは思います。
編:
じゃあどんな塗料がいいですか?(ワクワク)
大西:
う~ん、どんな塗料がいいか……。よくトタンに塗ってはがれている塗料を見たことはありませんか?
編:
よくはないですけど、ありますね。
大西:
(笑)。
あんな風に密着が悪くなっているところに上から別の塗料を塗っても、下地ごとはがれてしまいます。だから塗装する前には、いかに不良塗膜をはがしてから塗るか、塗料の付着を良くするための「ケレン」という作業がポイントになります。このケレンが手間なので、密着が悪いところでも上から塗って下地ごと固めてしまうような塗料があったら、むちゃくちゃ売れるでしょうね。
編:
へぇ~!ケレンいらず!
社長、その塗料つくって一儲けしましょう!
大西:
(笑)。
いやぁ、そういう商品が出てこないのは、物理的に不可能なんでしょうね。大革命だと思うので、もしできたら当社の名前で売りたいですが!ただ、新しい塗料の開発となると販売会社の我々には難しいので、どこかメーカーにつくってもらってロイヤリティだけもらいましょうか(笑)。
編:
おぬしも悪よのぅ!
大西:
(笑)。
編:
そう思うと、販売店ってぶっちゃけ「うまみ」が少なくないですか?
大西:
いえいえ、そんなことはないですよ。
私自身、大学を卒業後は8年ほど塗料メーカーに勤めていましたが、メーカーは当然自社で扱える材料が決まっているので、自社にないものは売れないですよね。でも販売店なら、お客様の要望に合った商材を調べて見つけ出し、提案することができます。当社は200社を超える仕入れ先からお客様の要望に沿えるので、販売店の仕事は好きですね。
自社の塗料はなくても、関西で数社しか扱えない塗料もありますし、過去には機械式駐車場のパレット専用塗料をメーカーと共同開発したので、当社を通じてでないと購入できない塗料もあります。
編:
なるほど。自社製品がベストとは限らないですもんね。
大西:
さまざまなメーカーの塗料や塗装資材がある中で、「こんなのない?」とお客様から言われたとき、ちゃんと汗をかいて調べるか。「明日中にほしいんだけど…」と言われたとき、できる限り対応するか。お客様への姿勢って伝わるので、その後の付き合いの広がりも変わってきます。そういう形で信頼を積み重ねてきて、今のゑびす屋ペイントがあるんです。
編:
さすが「ゑびす屋」!お客様第一が商売の要だと。
大西:
やっぱりね、お客様と長い付き合いをしようと思ったら値段じゃない。あくまで当社の対応を気に入ってもらうところだと思うんです。だから「ゑびす屋さんは値段が高い」と言われることに抵抗はなくて、「対応が悪い」と言われるとショックで。もちろんできる限りメーカーと交渉して値段も頑張りますが、対応力こそが自社の生き残る道だと思っています。お客様の心に残る仕事をすれば、従業員のみんなも感謝されて働き甲斐・やりがいを持ってくれるかな、会社としても強くなるかなと。従業員みんなに全部伝えきれているか分かりませんが……。
編:
では、社員の皆さんに社長の思いは届いているのか!?
職場を色で例えてもらいました~♪
編:
まずは、営業の内迫さんです。
「色ですか!服は紺色をよく着ますが…、白でもないし、黒って言うと別の意味が(笑)。グレーくらいにしておきますか」
大西:
グレーですか(笑)。
編:
続いて、事務の奈賀尾さんです。
「なんとなくですが、オレンジ。みんなやさしくてあったかいので」
大西:
オレンジいいですね!
編:
ビタミンカラー、みんな元気になりますよね。
大西:
それいいですね、お客様にとってもビタミンになるような会社!
めんどくさがらずに汗をかいてお客様の信頼を得ていくのが我々の色なので、合ってます。
編:
……めんどくさがりの私でも入社できますか?
大西:
経験は問わないのですが、めんどくさがりはちょっと…(笑)。でも、少人数ですがいろいろな個性を持った従業員がいるから、会社は成り立っているのかなと思います。
編:
社員の皆さんからも、それぞれが持つカラーを発揮して働ける職場であることが伝わってきます。
大西:
ありがとうございます。
お客様はもちろん大事ですが、お客様に対して最大限力を発揮するためには、従業員のモチベーションを上げることも今後さらに重視したいですね。人がいないとどうしようもないので、人を大切にしない会社に先はないなと思います。
編:
まだ見ぬ塗料で儲けようなんて言ってすみません(笑)。
大西:
いえいえ(笑)。私もまだ勉強中ですが、報酬で還元するなど頑張りがいのある環境は整えているつもりです。
名刺の裏にも「色のある未来へ」と書かせてもらっていますが、やはり色がない世界は寂しいと思います。色合いが華やかになると気持ちも明るくなりますし、それは従業員の未来もお客様の未来も同じ。誰かが泣くような未来では意味がないので、ともに発展して笑顔になれるような未来に貢献していければと思っています。
編:
色のある未来の一員になってみたいです!
本日は貴重なお話ありがとうございました。
あとがき
人を大事にしない会社に先はない。そう力強く語る大西社長の言葉に、塗料も人材も、正しい使い方をして初めて本来の機能が発揮されるのだと感じました。適材適所で個性を大切に育む「ゑびす屋ペイント」で、あなたがもともと持つ色を発揮するもよし、新たな自分らしい色を発見するもよし、鮮やかな色のある未来へ一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか!
取材協力:ゑびす屋ペイント株式会社 https://ebisuya-p.co.jp/
採用HPはこちら https://job-gear.net/ebisuyapcareer/