多くの企業がエリア拡大を図る中、あえてエリアをしぼることで成長した企業がある。エリア縮小に踏み切った理由、決断は功を奏したのか、デメリットはないのか…。気になることを、長岡京市の工務店『株式会社Lips』様にうかがいました。

 

お話をうかがったのは…

株式会社Lips 代表取締役社長 田村昌史さん。

前身である田村工務店を父から受け継ぎ、2009年社長に就任。小さな頃からモノづくりが好きで、お気に入りの遊び場は実家1階の工場だったんだとか。幼少期に養われたモノづくりの精神は今に生かされ、社長自らがデザインしたショールームはオシャレかつ遊びゴコロであふれています。

 

編集者
“超”地元だけがターゲットとのことですが、実際どのくらいエリアなんですか?

田村社長
長岡京市と大山崎町、約4万2000世帯のみがターゲットです。分かりやすく言うと、店舗から車で15分圏内。このエリア外から依頼があっても、申し訳ないですがお断りしています。

編集者
思った以上に地元ですね!なぜそんなにエリアを絞ったんですか?

田村社長
リフォームして終わり、家を売って終わりではなく、お客様の一生涯の住環境を守りたいと思ったからです。お宅に何かあったとき、すぐに駆けつけようと思ったらエリアは狭いほうがいい。お客様も「こんなことで遠くからよんだら…」と遠慮されますし。

編集者
なるほど。エリアが小さいからこそ、長く地域の住環境に貢献できるわけですか。

田村社長
事実、当社のような社員数6名の会社が「社会貢献します!」なんて言っても無理なんですよ。そんな宣言、ウソになる。でも、本当に自分の生活圏くらいの「社会」であれば、私たちの手で守れるんです。

編集者
とはいえ、お客様の数を大きく減らす決断でもありますよね?

田村社長
そう思うじゃないですか?ところがマーケット調査をすると、当社では対応しきれないほどの需要があるんです。長岡京市のリフォーム工事費は、年間約30億。思ったより多いでしょ?適当にエリアを絞ったわけじゃないんですよ!

 


地元でおなじみ、ライオンマークの社用車。

 

編集者
恐れ入りました!この決断をしたことで、どんな変化がありましたか?

田村社長
まず、当社が目指す『インフラカンパニー』に一歩近づきましたね。住宅は水道・電気・ガスと同じく、生活を支えるインフラだと、私は思います。災害でお住まいに被害が出たとき、すぐに駆けつけて修繕することで地域のインフラを守れました。

編集者
お客様はみなさん、とても心強かったと思います!ほかにはありますか?

田村社長
残業時間が減りました。以前は移動時間が長く残業が多かったですが、今は移動時間、15分ですからね。家族と夕食を囲める時間に帰れますよ。

編集者
社員にとってもメリットになったんですね。

田村社長
あとは、狭いエリアを目立つ社用車がぐるぐる回っているので、宣伝効果が高いです。「よく見るから」という理由で依頼してくれる方も増えています。なぜみんなエリアを広げたがるのか不思議なくらい、イイことづくめだと思いますよ!

 

編集者が見た!“あえて狭める戦略”の魅力。

通常マイナスイメージを持たれがちな「エリア縮小」。しかし今回の取材で、縮小は衰退ではなく、特化でもであるのだと気付かされました。お客様の生涯にわたる幸せ、スタッフの働きやすさ、会社の発展…。すべてを叶えられるのが車で15分の距離感なのです。広げるばかりが成長ではないことに気付いたのは、社長を含めて若いメンバーの多い、フレッシュな価値観を持った会社だからかもしれませんね!

 

取材協力:株式会社Lips

リフォーム・リノベーション工事、中古住宅販売を行う工務店。不動産部門と建築部門が連携し、中古住宅購入からリノベーションまでのワンストップサービスを実現する。ショールーム兼店舗は木のぬくもりあふれるオシャレな空間。キッズスペースや壁一面の黒板など、社長の遊びゴコロが随所にちりばめられている。DIYスタジオも併設し、お客様ご自身がリノベーションに関わることもできるなど、思い出もプロデュースする工務店です。